【小児聴力検査】
難聴やことばの遅れの早期発見・早期治療
難聴には、先天性と後天性のものがあります。種類により感音性、伝音性、混合性難聴とに分けられ、程度により軽度、中等度及び高度難聴に分けられます。
人は一般には、生後1歳から2歳で言語を獲得しますが、それ以前、例えば出生時より難聴が存在し、かつ高度であるほど言語の獲得が困難となり、言語を使ってのコミュニケーション障がいが生じ、日常生活上の不便も生じることになります。このため、「音に対しての反応が弱いのではないだろうか」あるいは「言葉の発達が遅れているようだ」といった心配があれば、早目に聴覚の精密検査を受けることをお勧めします。
難聴と診断された場合、その種類や程度を見極めた上で、必要ならば補聴器を装用し、できるだけ早期に音の情報を入れる必要があります。場合によっては、人工内耳埋め込みなどの治療が必要かもしれません。早期発見・早期治療が重要です。
平成21年度からは、県下全域で新生児の聴覚スクリーニング検査が行われるようになりました。精密検査が必要と言われると、周囲は大変不安な思いをされるでしょうが、スクリーニングで要精密検査と言われても、必ずしも難聴があるとは限らないし、一つの検査だけで評価すべきでないとも言われています。発達に応じて検査を組み合わせ、繰り返して行うことが大切です。
市町村の保健センター等で実施される乳幼児健診では、3歳児健診時に聴覚に関しての検査があり、他の時期の健診には含まれていません。
センターは、乳幼児を対象とした種々の聴力検査装置を備え、新生児スクリーニング検査後の精査をはじめ、年齢や発達に応じた検査を行っています。
聴力の判定が難しいとされる、発達遅滞を伴った乳幼児の聴力検査も行っていますので、3歳児健診だけでなく、その他の健診後にも、心配があるときには、随時ご相談ください。
対象
難聴やことばの遅れが疑われる乳幼児(精神発達遅滞児を含みます)
聴力検査のいろいろ
年齢や発達に応じた検査ができます。
1.自覚的検査
♪聴性行動反応聴力検査 BOA(behavior observation audiometory):新生児~1歳以下
生まれてから3ヶ月頃までは、音による反射(手足をびっくりしたように伸ばして抱きつくような動きをする、まぶたを閉じる・開く、乳を吸うように口唇を動かすなど)を検査して、聴力を測ります。
3ヶ月を過ぎると、笑う、泣く、音源(鈴や太鼓など)の方向に目を向けるなどの音に対する行動反応を検査して、聴力を測ります。
♪ 条件詮索反応聴力検査 COR(conditioned orientation response audiometory):生後6ヶ月~2歳半位まで
発達検査
総合的に判断するために、発達の検査を組み合わせて行います。
♭乳幼児発達検査
ことばの遅れには知的な面が影響を与えていることもあります。臨床心理士が、精神発達面を診る遠城寺式乳幼児発達検査や田中・ビネーなどの知的検査を行います。
♭言語学習能力検査ITPA(Illinois Test of Psycholingustic Abilities)
聴こえとことばの発達についての関連性をみる検査です。言語聴覚士が行います。